2017年12月

2017年12月17日

<自賠責運用益>一部返還へ 交通被害救済の先細り回避

交通事故の被害者救済事業の財源として国の特別会計に計上されていた自動車損害賠償責任(自賠責)保険の運用益約6100億円が一般会計に繰り入れられたままになっている問題で、財務省と国土交通省は、特別会計に残った運用益を枯渇させないため一定額の返還を行うことなどを盛り込んだ覚書を18日に結ぶ。覚書を受けて財務省は15年ぶりに返還を再開し、二十数億円を2018年度の特別会計に戻す。19年度以降も返還を継続する方向だ。

麻生太郎財務相と石井啓一国交相が同日折衝し、正式合意する。未返還の影響で重度障害者の専門病院の運営など事業の先細りが懸念されていたが、危機的状況は回避される見通しだ。

未返還問題は、1994、95年度に旧大蔵省が「財政難」を理由に旧運輸省所管の特別会計にあった運用益の中から約1兆1200億円を一般会計に繰り入れたのが発端。運用益の原資は自動車ユーザーが支払う自賠責保険料で、専門病院の運営や在宅患者の介護料などに充てられている。

財務省はこれまで4回にわたり全額返還するとの覚書を国交省と交わした。しかし03年度までに利息を含む計約6900億円が戻った以後は1円も返還されず、期限の延長が繰り返されてきた。今も元本と利子を合わせて約6100億円が返還されないままだ。

このため自賠責の被害者救済事業は特別会計に残った運用益を毎年100億円程度取り崩して継続されている。「このままでは十数年で運用益が底を突く可能性が高い」との不安が被害者家族に広がっていた。

2017/12/17毎日新聞
anzenbanks at 12:21|この記事のURLニュース 
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