2005年09月27日

三菱銀行着服事件、派遣行員の管理や教育徹底が課題に

東京三菱銀行で支店勤務の女性派遣行員が12年間にわたり約10億円を着服していた事件は、トップバンクへの消費者の信頼を大きく傷つけた。派遣行員の勤務状況の把握を怠ってきたツケが回ってきた形だ。同行に限らず、銀行界では、コスト削減のために正規行員を減らして派遣や嘱託行員を増やす動きが加速しており、事件はコスト優先の安易な派遣、嘱託行員活用に警鐘を鳴らした。

事件を起こした行員は子会社の人材派遣会社を通じて支店に配属され、12年間外回りの集金業務を担当。顧客に架空の高金利の預金商品を持ちかけ、既存の預金口座から現金を引き出して着服していた。だが、派遣行員が「顧客からの厚い信頼を得ていた」(同行広報室)こともあり、銀行は顧客から指摘があるまで見抜けなかった。

同行には、同じ人物が長期間、同一業務に就くことの弊害を防ぐため、一定期間で担当や配属を変更する内規がある。しかし、派遣行員の管理は派遣会社任せで、銀行は異動状況すら把握していなかった。また、派遣行員は内部監査の対象にもしておらず、外回りを担当する全国百数十人の派遣行員が、内規の期間を超えて同一業務をしていたことも、今回、調査して初めて分かった。

コスト削減に追われる銀行界では近年、正行員の削減が進んでいる。全国銀行協会によると、地銀を含む全国の銀行の正行員数は05年3月末で28万8032人で、10年で約35%減少。正行員の減少分の多くを、派遣や嘱託行員で置き換えているとみられる。東京三菱は正行員1万4047人(05年3月末)に対し、派遣行員は5年間で1000人以上増え、約8500人に達する。

銀行間の競争が激しくなるほど、派遣や嘱託行員の役割は重みを増し、「任せる業務範囲も拡大している」(同)。一方で不祥事も増えつつあり、三菱信託銀行でも26日、外回りの女性嘱託行員が内規に反して持ち歩いた顧客43人の書類(生年月日、住所など記載)を買い物中に盗まれたことが発覚した。銀行は一層の管理強化とともに、役割の重みに応じた教育投資の充実も求められている。
(毎日新聞)
anzenbanks at 17:25│Comments(0)TrackBack(0)関東 | 詐欺事件

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
最新記事
Archives
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: